九州で最後まで掘り続けた島
池島炭鉱は戦後に本格操業を始めた比較的新しい炭鉱で、最盛期には島の人口が数千人規模に達しました。学校、商店、病院が揃い、島そのものがひとつの町として機能していました。
エネルギー政策の転換により全国の炭鉱が次々と閉山するなか、池島は2001年まで操業を続けます。九州最後の炭鉱でした。閉山とともに人口は急減し、多くの集合住宅が空き住戸になりました。
軍艦島との決定的な違い
池島がしばしば軍艦島と並べて語られるのは、どちらも炭鉱の島で高層住宅が残るためです。しかし決定的な違いがあります。軍艦島は完全に無人化した廃墟ですが、池島には現在も住民が生活しているということです。
この差は、訪問者の振る舞いに直結します。空いている住戸に勝手に入る、住民の生活音や姿を撮影する、夜間に大声で歩き回る。こうした行為は廃墟探索ではなく、人の暮らしへの侵入です。
編集部の立場として、池島を「心霊スポット」として紹介することはしません。ここは人が住んでいる島です。
坑道に入る唯一の方法
池島では、閉山後に炭鉱体験坑道ツアーが運営されています。実際にトロッコに乗って坑内へ入り、採炭機械の実演を見ることができます。元炭鉱員がガイドを務めることもあり、坑内労働の実際を直接聞ける貴重な機会です。
要予約制で、運航する定期船の便数も限られます。日帰りで訪れる場合は、船の時刻とツアーの開始時刻を照らし合わせて計画してください。
島の景観は確かに強烈です。しかしその強烈さは、ここが数千人の生活を支えた場所であり、その暮らしが終わったという事実から来ています。そこに敬意を持って歩いてください。