白い球——オーブと呼ばれるもの
暗い場所でフラッシュを使うと、白く光る半透明の球が写ることがあります。オーブと呼ばれるこの現象は、空気中の埃・花粉・水滴・小さな虫が、レンズのすぐ手前でフラッシュに照らされたものです。ピントの合う距離よりはるかに近いため、輪郭のぼやけた円として記録されます。
見分け方は簡単です。同じ構図で連続して数枚撮ってみてください。球の位置が毎回変わる、あるいは出たり消えたりするなら、浮遊物です。埃の多い場所、雨上がり、線香の煙のある場所では、ほぼ確実に写ります。逆に、フラッシュを切ると出なくなるのも大きな手がかりです。
白い手・白い帯・白いもや
「白い手が写った」という相談は、心霊写真の相談のなかでもとくに多いものです。実際に見せていただくと、多くは次のいずれかに当てはまります。ひとつは指の写り込みで、レンズの端にかかった自分の指がフラッシュに照らされ、大きくぼけた白い塊になります。輪郭が画面の端から伸びていたら、まずこれを疑ってください。
ふたつめはストラップです。レンズ前に垂れたストラップがフラッシュで白く飛ぶと、細長い帯や紐のような形になります。みっつめは被写体ブレで、シャッターが開いている間に動いた腕や人物が、半透明の残像として重なります。夜景や室内でシャッター速度が遅くなっている写真では日常的に起こります。
白いもやについては、寒い時期の呼気、湿度の高い日の水蒸気、線香やタバコの煙が主な正体です。屋外なら気温と湿度、屋内なら空気の流れを思い出してみると、たいてい心当たりが見つかります。
水面や窓に顔が見えるとき
「心霊水」といった言葉で検索されることもある、水面に顔が浮かんで見える写り方です。水面は光を複雑に反射し、波と影の組み合わせが一瞬ごとに変わります。そのなかから、脳が目・鼻・口の配置に近いパターンを拾い上げると、顔として認識されます。これがパレイドリアです。
人間の脳は、顔の検出を極端に優先するようにできています。少ない手がかりでも顔と判断してしまう傾向は、電源プラグの穴が顔に見える、車のフロントが表情を持って見える、といった日常の経験でも確認できます。壁のしみ、木の幹、雲、岩肌——顔が見える対象に共通するのは、明暗が細かく入り組んでいることです。
この場合の確かめ方は、写真を上下逆さまにするか、大きく回転させてみることです。パレイドリアによる顔は、向きを変えると成立しなくなり、ただの模様に戻ることがほとんどです。
自分の写真を確かめる手順
編集部が相談を受けたときに実際にたどる順番を書いておきます。第一に、加工されていない元データを見ること。SNSやメッセージアプリを経由した画像は圧縮でノイズが増え、ないものが見えやすくなります。第二に、前後に撮った写真も並べて見ること。同じものが写っているか、一枚だけかで意味が変わります。
第三に、拡大して輪郭を確かめること。超常的なものとされる部分が、画面の端から伸びていないか、ピントの合っている面と合っていない面のどちらにあるかを見ます。第四に、撮影時の状況を思い出すこと。フラッシュの有無、手ぶれ、その場の埃や湿度、周囲にいた人。ここまでで、相談の大半は説明がつきます。
そのうえで、どうしても説明のつかない一枚が残ることはあります。編集部はそれを無理に否定しません。ただ、説明できる範囲を先に潰しておくことで、その一枚の意味は逆に重くなります。順番を守ることが、写真に対して誠実な向き合い方だと考えています。