宮崎県宮崎市の旅館で体験した、本当の出来事です。あれは、中学校の時の修学旅行でした。3泊４日、九州各県をバスで周り・・・

宮崎県宮崎市の旅館で体験した、本当の出来事です。

あれは、中学校の時の修学旅行でした。3泊４日、九州各県をバスで周り、神社仏閣や戦争跡地を学習しながら観光するものでした。
最終日の夜、1日目、2日目に泊まった旅館とは明らかにレベルの低さを感じる旅館に宿泊しました。

失礼を承知で言うならば、もはや廃墟のような古びた佇まいで、夕方にチェックインしたにも関わらず雰囲気はまるで深夜のような暗さでした。
学校側が、観光へお金をつぎ込みすぎたせいか、最後の旅館はランクを下げて超格安を探してきたんだな、と友達と話をしながら自分たちの部屋へ入りました。
各部屋に、男子6人ずつ布団を並べて寝るのですが、部屋へ入るやいなや6人全員が最初から奇妙な違和感を覚えました。
壁に掛けてある絵画の裏にお札が貼ってあるなんていう話はよく聞いていたので、部屋に入るなり皆で一斉に怪しいものはないかを探して回りました。
内風呂やトイレ、押し入れ、飾ってある絵画やテレビの後ろまでくまなく探したのですが、これといって気味悪いものは出てこなかったので
とりあえず一安心して、夕食を食べ大浴場で汗を流してから部屋へ戻りました。

思春期の男子生徒が集まっているので時間通りに就寝するわけもなく、先生の見回りをかいくぐりながら深夜遅くまで皆で他愛もない話をしていました。
ちょうど2時を過ぎたあたりだったと思います。友達のひとりがトイレに行ったきり戻ってきませんでした。

と、言ってもトイレは部屋の隅にあるので、そこまで気にはしていなかったのですが、急にその友達が血相をかえてトイレから出てきました。
皆も慌てて、どうした？と次々に声をかけるのですが、友達は口が半開きのまま「うえ、うえ」としか言いませんでした。

リーダー気質の友達が急いでトイレに向かいました。ぱっと上を見た瞬間、「うわあ」と大声をだし尻もちをついたまま微動だにしませんでした。
私たちも続いてトイレへ行き天井を見上げたのですが、特に変わった様子はなく結局2人の友達が何を見たのか分かりませんでした。

その後すぐに巡回していた先生に見つかり、遅くまで起きていたことや夜中に大声を出したことをこっぴどく叱られ、しぶしぶ床につきました。
しばらくしてから、休み時間に友達2人から当時のことを聞いたのですが、トイレの天井には換気とは別に大人ひとりが天井裏へ抜けれるような扉があり、
その扉の隙間から青白い目をした女性がずっとこちらを見ていたとのことでした。その女性は目線を外すことなく小さな声で笑っていたそうです。
十数年経ち、私たちも社会人となってその時の恐怖体験のことはすっかり忘れていました。


先日、同窓会でたまたまその話になり、中学校の思い出話から修学旅行で怖い体験をしたんだ、と話が始まりました。

聞くところによると、その古びた旅館は私たちが宿泊した次の年には取り壊され、いまだに更地のままだといいます。
今、文章を書いていて思い出したのですが、そういえば私と同じ部屋に泊まった6人のうち、2人だけ連絡が取れずに同窓会へ来ていませんでした。