「日本最恐」と呼ばれるようになった経緯
犬鳴峠が全国区の知名度を得たのは1990年代後半以降、インターネット掲示板や怪談本を通じてでした。それ以前から地元では「夜の峠は通るな」と語られていましたが、決定的だったのは、この峠で実際に起きた重大な刑事事件が繰り返し取り上げられたことです。実在の事件が背景にあるという点が、他の心霊スポットと決定的に異なる重みを与えています。
加えて「トンネルの先に日本国憲法の通用しない集落がある」という都市伝説が広まり、映画化もされたことで、心霊スポットの枠を超えた"伝説"として定着しました。編集部が確認した限り、この集落の話に事実の裏付けはありません。あくまで創作された物語が独り歩きしたものと考えるのが妥当です。
旧犬鳴トンネルの現在
1975年に新トンネルが開通したことで旧道は役目を終えました。旧トンネルの坑口は、度重なる肝試し客の侵入や事件を受けて完全に塞がれています。かつて壁面を埋め尽くしていた落書きも、現在は封鎖壁ごと見えなくなりました。
旧道そのものも路面の崩落や落石が進み、車両での通行はできません。「トンネルを見に行く」という目的で近づくこと自体が、現実的な危険を伴う行為になっています。
語られてきた噂
もっとも多いのは、峠のカーブで白い人影を見た、トンネル手前で誰もいないのに車を叩く音がした、走行中に無線やラジオにノイズが入る、といった目撃談です。心霊.JAPANに寄せられた投稿でも、峠そのものよりも「新トンネルを抜けた直後のカーブ」を挙げる声が目立ちました。
ただし峠道は霧が発生しやすく、路肩の反射材やガードレールが視界の悪さの中で人影に見えることもあります。噂を否定するものではありませんが、地形と気象の条件も併せて知っておく価値はあるでしょう。
訪れる場合に必ず守ってほしいこと
犬鳴峠は現在も地域の生活道路であり、周辺には民家と農地があります。深夜の騒音、路上駐車、ゴミの放置は住民の生活を直接脅かします。実際に地元では迷惑行為への苦情が続いており、パトロールも行われています。
また封鎖された旧トンネルへ立ち入ろうとする行為は不法侵入にあたります。この場所には実際に亡くなった方がいます。興味本位の行動が誰かをもう一度傷つけることのないよう、節度ある姿勢でお願いします。