リゾート地の廃墟
猪苗代湖畔は、1980年代を中心にペンションブームで多くの小規模宿泊施設が開業した地域です。翁島ペンションもそのひとつで、白い外壁の洋風建築が湖畔の景観に合わせて建てられました。
しかしバブル崩壊後の観光需要の変化により廃業。買い手のつかないまま放置され、雪と湿気の多い環境の中で急速に傷んでいきました。同種の廃業ペンションは猪苗代湖周辺に複数存在しますが、翁島ペンションだけが突出した知名度を得ることになります。
「白い家」の噂
この建物には、「一家がここで惨事に遭った」「壁に血の跡がある」といった噂がつきまとってきました。とりわけ2000年代のインターネット掲示板と心霊系サイトで繰り返し取り上げられ、東北屈指の心霊スポットとして定着します。
編集部が確認した限り、これらの話に対応する事件の報道記録は見当たりません。白い外壁の洋館という強い視覚的印象、リゾート地に唐突に残された廃墟という違和感、この二つが噂を呼び込んだと見るのが妥当です。廃墟の外観そのものが物語を生む——という現象の典型例と言えるでしょう。
侵入と荒廃
有名になるにつれて侵入者が増え、建物は徹底的に荒らされました。窓は割られ、内装は破壊され、壁一面が落書きで覆われました。近隣では夜間の騒音や不審者への不安が続き、警察への通報も繰り返されています。
猪苗代湖畔は本来、磐梯山を望む静かな観光地です。地域にとっては、この建物の知名度は迷惑以外の何物でもありませんでした。
現在の状況
危険な空き家として問題視された結果、建物は撤去が進められました。かつて写真で流通していた「白い家」の姿は、現在は見ることができません。
敷地は私有地です。跡地を探して周辺をうろつく行為は、地域住民に強い不安を与えます。猪苗代湖畔を訪れるなら、湖岸から望む磐梯山や、周辺の温泉地をおすすめします。