神戸市のチェーン飲食店でアルバイトをしていたときの話です

神戸市のチェーン飲食店でアルバイトをしていたときの話です。
この店の制服は支給された着物で、毎月指定された色の着物を着るという決まりがありました。
今月はピンク色の着物。朝出勤して開店準備をしているときのことでした。
せっせと予約席の準備をしている私の視界には、テーブルと配膳のセッティングをする自分の手元だけ。
かなり大きな席だったので急いではいましたがなかなか終わりません。
集中している私の視界にふと、向かいでもセッティングをするほかの人の手が見えました。
「私が大変そうだから手伝ってくれたんだ」と思いお礼を言おうと顔を上げると、そこには誰もいませんでした。
周りを見渡すと明らかに自分が手を付けた以上のセッティングがされていました。
よく考えると向かいに見えた人の着物は青。この日の指定された色ではありませんでした。

この店ではTさんという主婦の方が働いていたそうなのですが、私が勤務する1年前に交通事故で亡くなったそうです。
Tさんはお客様からとても評判がよく、私が働き始めてからもお客様から「最近Tさんいないね」などと言われることがありました。
店のルールでこういったことを言われた際には、「家庭の事情で...」など亡くなったことには触れないことと聞かされていました。

一瞬不気味に思いましたが、もしかしたらTさんが手伝ってくれたのかもしれません。