私の地元、愛知県犬山市には入鹿池という池があります。
貸しボートもあり、冬にはワカサギ釣りも楽しめるので子供のころはよく父と遊びに行きました。
遊びのスポットとしても知られていましたが、そこには前から「ジャンピングババア」や「トランペット少年」などの都市伝説があり、心霊スポットとしてもそこそこ有名な場所でした。
友達にも「入鹿池にいった」と話すと誰かは「ジャンピングババア見た?」などと面白半分に聞いてきたくらいです。
とある冬の週末、毎年恒例のワカサギ釣りに出かけました。
いつもなら何も気にすることなくただワカサギを釣って帰っているのですがその日だけは違いました。
父の車に乗りいつも通り池に向かい駐車場に車を停めると、私は何かがおかしいと感じました。
池の周辺や池を見るとワカサギシーズンの週末のはずなのに人が全然見当たらないのです。
「今日は全然人がいないな、釣り放題じゃないか。」と父はわくわくした様子でしたが、貸しボートの受付に行く途中もボートに乗りこんでからも、ボートの受付をしてくれたおじさん以外誰一人見つかりません。
今まであれほど人に会わないのはその日が初めてでした。
少し不気味さを感じながらも本来の目的のワカサギ釣りを楽しんでいると、少し離れたところにボートを見つけました。
「お、ようやく人がいたぞ。」と父が言っていましたが、私にはどうみてもボートしか見えず人の姿などどこにもありません。
私は父に「あのボートでしょ?人いないよ?」と言うと父はもう一度ボートを見た瞬間急いでオールを取り出し漕ぎ始めました。
私は訳も分からないまま釣竿を引き上げ、急にどうしたのかと聞きました。
父はオールを動かしている手を止めないまま「目が合った。でもあれは人じゃない。あっちをもう見るな。」とだけ言いボートを急いで岸につけ返却の手続きをしに行きました。
その時ちらっと池の方を見ると先程見かけたボートがこちらに向かってきているように感じました。
手続きを済ませて急いで車に乗せられ、私たちは帰路につきました。
帰りの車の中で父が詳しいことを話してくれました。
「あのボート自体は本物のボートだが俺が見た人はこの世の人じゃない。お前には見えないって聞いてもう一回見たときに目が合ったんだがその時手を振られたんだ。
普通なら問題ないんだがアレはあかん。手を振るとき手の甲がこっちを向いてた。」
まだ子供だった私は少し怖いと感じながらも父の言っていることがよくわかっていませんでした。
しかし最近になって「この世のものではない人は逆手になっている」という話を聞き、ようやく父の言葉の言いを理解しました。
手の甲をこちらに向けて手を振っていたということは…思い出すだけで恐ろしいです。
もしあの時父が気づかずそのまま釣りをしていたらどうなっていたのでしょうか…。
帰ろうとしていた私たちを追うように向かってきていたボートが今どこにあるのかは知らないままの方がいいのかもしれません
貸しボートもあり、冬にはワカサギ釣りも楽しめるので子供のころはよく父と遊びに行きました。
遊びのスポットとしても知られていましたが、そこには前から「ジャンピングババア」や「トランペット少年」などの都市伝説があり、心霊スポットとしてもそこそこ有名な場所でした。
友達にも「入鹿池にいった」と話すと誰かは「ジャンピングババア見た?」などと面白半分に聞いてきたくらいです。
とある冬の週末、毎年恒例のワカサギ釣りに出かけました。
いつもなら何も気にすることなくただワカサギを釣って帰っているのですがその日だけは違いました。
父の車に乗りいつも通り池に向かい駐車場に車を停めると、私は何かがおかしいと感じました。
池の周辺や池を見るとワカサギシーズンの週末のはずなのに人が全然見当たらないのです。
「今日は全然人がいないな、釣り放題じゃないか。」と父はわくわくした様子でしたが、貸しボートの受付に行く途中もボートに乗りこんでからも、ボートの受付をしてくれたおじさん以外誰一人見つかりません。
今まであれほど人に会わないのはその日が初めてでした。
少し不気味さを感じながらも本来の目的のワカサギ釣りを楽しんでいると、少し離れたところにボートを見つけました。
「お、ようやく人がいたぞ。」と父が言っていましたが、私にはどうみてもボートしか見えず人の姿などどこにもありません。
私は父に「あのボートでしょ?人いないよ?」と言うと父はもう一度ボートを見た瞬間急いでオールを取り出し漕ぎ始めました。
私は訳も分からないまま釣竿を引き上げ、急にどうしたのかと聞きました。
父はオールを動かしている手を止めないまま「目が合った。でもあれは人じゃない。あっちをもう見るな。」とだけ言いボートを急いで岸につけ返却の手続きをしに行きました。
その時ちらっと池の方を見ると先程見かけたボートがこちらに向かってきているように感じました。
手続きを済ませて急いで車に乗せられ、私たちは帰路につきました。
帰りの車の中で父が詳しいことを話してくれました。
「あのボート自体は本物のボートだが俺が見た人はこの世の人じゃない。お前には見えないって聞いてもう一回見たときに目が合ったんだがその時手を振られたんだ。
普通なら問題ないんだがアレはあかん。手を振るとき手の甲がこっちを向いてた。」
まだ子供だった私は少し怖いと感じながらも父の言っていることがよくわかっていませんでした。
しかし最近になって「この世のものではない人は逆手になっている」という話を聞き、ようやく父の言葉の言いを理解しました。
手の甲をこちらに向けて手を振っていたということは…思い出すだけで恐ろしいです。
もしあの時父が気づかずそのまま釣りをしていたらどうなっていたのでしょうか…。
帰ろうとしていた私たちを追うように向かってきていたボートが今どこにあるのかは知らないままの方がいいのかもしれません
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