今からもう30年以上前、東京都荒川区に住んでいたころの話です。私は古い木造一戸建て住宅を借りていました(現在、その家は再開発事業で取り壊されてしまいました。)が、毎日午後2時50分になると、窓のすぐ外を必ず黒い服を着た女性が俯きながら通過してゆくことに気付きました。ある日思い切って彼女の通過中に窓を開けてみると、ふっとこちらを軽く見ながらすーっと空間の中に消えて行きました。その後も金縛りであるとか祟りのような出来事は一切無かったですが、その黒い服の女の歩き方・態度・仕草が全く普通で余りにも自然だったのが逆に非常に薄気味悪く、その光景が今も強く心に残っています。
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