素掘りのまま残された隧道
二股トンネルは、丸山ダムの建設に関連して掘られた作業用の隧道が起源とされます。コンクリートで巻き立てられておらず、削岩した岩肌がそのまま露出しているのが最大の特徴です。
名前のとおり内部で道が分かれる構造を持ち、この「暗闇の中で選択を迫られる」形状が、体験としての不気味さを決定的にしています。断面は不整形で天井も低く、車で進むには相当な緊張を強いられます。
語られてきた噂
分岐のどちらかを選ぶと戻れなくなる、内部で白い人影とすれ違った、車のライトが消えた——といった話が語られてきました。ダム建設時の殉職者にまつわる話が結びつけられることも多くあります。
実際の内部環境として、岩肌からの湧水が常時あり、路面は濡れて滑ります。素掘りの壁は光を反射せず吸い込むため、ヘッドライトの光が届く範囲が異様に狭く感じられます。物理的に「見えない」場所であることは確かです。
周辺の状況は変わりつつある
丸山ダムでは現在、直下に新丸山ダムを建設する事業が進行しています。これに伴い、周辺の道路の付け替えや工事車両の通行が続いており、アクセス状況は年単位で変化します。
過去の情報をもとに向かうと、通行止めや工事区域に行き当たる可能性が高い状況です。工事関係者の通行を妨げる行為は業務妨害にあたります。現地の規制表示には必ず従ってください。
訪れる場合の注意
二股トンネルは、心霊うんぬん以前に道路構造として危険です。落石、湧水による路面凍結、離合困難な幅員、照明の不在。夜間に肝試し目的で入る条件としては最悪の部類です。
木曽川沿いの渓谷は日中に訪れれば風光明媚な場所です。丸山ダムの堤体も見応えがあります。トンネルそのものを目的にするのではなく、この地域の土木遺産として見る視点をおすすめします。