東京都東村山市に住んでいたときのことです。休みの日に近所を散歩するのが、そのころの私の日課でした。その日は休みの日で、私は近所を散歩して、知らない通りや店の観察をして楽しんでいました。そして知らない細い路地に入ったときでした。路地には小さなアパートが建っていて、その階段の脇にうつむいた男の人がいるのを見ました。なんか暗い雰囲気の人だな、と思って、ほんの一瞬だけ目をそらしました。次に視線を向けると男の人の姿が消えていました。少しでも動けば気付くレベルでしか目をそらしていないのに、男の人は突如消えたのです。あれはこの世のものではないのだろう、と私は理解しました。それ以降、散歩で細い路地には迷い込まないよう、気を付けています。
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