もとは鉄道トンネルだった
清滝トンネルは、1929年に開業した愛宕山鉄道の平坦線トンネルとして掘られたものです。当時は嵐山から清滝を経て愛宕山へ登るケーブルカーへ接続し、山上には遊園地やホテルまで備えた一大行楽地が広がっていました。
しかし戦時中の1944年、不要不急線として鉄道は廃止。レールは供出され、トンネルだけが残されて道路に転用されました。断面が単線鉄道規格のままであるため、車一台がやっと通れる幅しかない——これが、あの独特の圧迫感の正体です。
「信号が青なら一旦待て」の噂
トンネル手前の信号が青のまま変わらないときに進入してはいけない、という噂が広く知られています。この話が生まれた背景には、実際の信号制御の仕組みがあります。対向車がない状態が続くと青が長く継続するため、「ずっと青のまま」という状況自体は普通に起こりうるのです。
とはいえ、狭い一方通行のトンネルで対向車と鉢合わせれば、後退以外に逃げ場はありません。噂の真偽はさておき、「青でも一呼吸置いて進入する」という行動そのものは、運転上まったく理にかなっています。編集部としてはむしろ推奨したい所作です。
その他に語られる話
トンネル内の待避スペースで人影を見た、出口付近で天井から人が下がって見えた、といった目撃談が繰り返し語られてきました。愛宕山鉄道の工事や、周辺の古い歴史と結びつけて語られることもありますが、いずれも出所を辿れる記録は確認できませんでした。
一方で、照明が乏しく壁面が近い440mの直線という条件は、視覚的な錯覚を生みやすい環境ではあります。
通行時の注意
トンネルの先の清滝は、いまも人が暮らす静かな集落であり、愛宕神社への表参道口でもあります。夜間の肝試し行為による騒音は長年の課題となっており、地域から強い苦情が出ています。
トンネル内に歩道はありません。徒歩や自転車での通行は事故の危険が非常に高く、避けるべきです。訪れるなら日中、車で速やかに通り抜け、清滝の渓谷そのものを楽しむことをおすすめします。